住まい手の声
家と庭と家族と つながり、続いてゆく暮らし
のびやかな風景が周囲に広がる、見附市の土地。奥様のご実家のゆとりある敷地に、母屋と庭を共有する形でお住まいを計画されたT様。広い空の下南北に長く伸びる大屋根が印象的で、板張りと塗り壁の外壁が穏やかに風景に馴染む、気持ちのよい家が完成しました。
屋内は開放的な吹き抜けやオープンな和室、庭へつながる室内土間が特徴。一階で暮らしが完結する平屋のような間取りやHEAT20G2を超える高い断熱性能と、住み心地や性能にも重点を置いています。
お引き渡しから約一年、新たに庭が完成したお住まいに伺い、お話を聞かせていただきました。
土地については、ご実家の敷地内での家づくりを当初から計画されていたのでしょうか。
奥様: 以前は中央区に住んでいたのですが、地元が好き、見附のこの土地や家を継いでいきたいという思いを私は昔から強く持っていたので、「家を建てるならこの場所に」というのは当初から二人で決めていたことでした。
ご主人: 小さい頃長岡の祖母の家から見ていた、田んぼや山並みがのびのびと広がる景色が好きで、自分の原風景のように感じていたのですが、ここはまさにそれと重なる景色が広がっている土地。家をこの場所に建てることに私も迷いはありませんでした。
奥様: ここでは子供達が直接自然と関われることが何よりだなと思いますし、実際こちらでの暮らしが始まり、ふとした時に気兼ねなく家族に子供達を見てもらえる安心感があるのもとてもいいですね。
家づくりの検討を始め、様々な会社から弊社を選んでいただいたのはどのような経緯がありましたか。
ご夫婦: 花や植物を家で楽しんだり、建築の番組を録画して観たり、以前から家や暮らしのことに二人共とても興味があったのですが、初めから家の方向性が定まっていた訳ではなく、会社選びでは展示場などへたくさん足を運び検討を重ねました。
始めの頃に訪れた展示場で「豪華さはあるけれどどこか作り物のように見える、私達には何か違う…」と感じ、「では何が違うのか?」と考えるうちに、少しずつ本物の素材や木を活かした家へ、焦点が定まっていきました。
小出建設さんで話を伺っていると、相談していた社長は、素材一つでも経験や実績を踏まえて使う理由を丁寧に説明してくれて、質問を曖昧に流すことがない。物事を突き詰めて考えるストイックさや、デメリットも含め意見を聞かせてくれる率直さが私達に響き、その人柄が家をお願いする決め手になりました。
「同じ材の中でも木目がより綺麗な部分をLDKに、節の多い部分は目にする頻度の低い場所に、現場でも木をよく見て使い分けている」と伺ったことが今でも印象深いのですが、デザインの面で木を活かすだけでなく、現場の大工さん達もそこまで考え丁寧に施工をしてくれるんだと思えたことは、家をお任せする後押しになりました。「施工が丁寧か」は私達が大切に考えていたことの一つ。見学会などで伺う小出建設さんの家ではいつも「丁寧な造りだな」と実際感じられたのもよく覚えています。
家づくりにあたり、特にご要望されたのはどんなことでしたか。
ご夫婦: 前提としてあったのは、母屋の庭の方向、つまり西へ開き、母屋と向かい合う形で家を構えること。
また私達の大きなテーマとして「歳を取っても馴染む家にしたいね」と二人で話していました。これは素材の面で現代的になり過ぎないこともそうですし、いつか子供達が家を離れても住みやすい、一階で暮らしが完結する間取りの要望にも繋がっています。
ご主人: 外観にも思い入れがあり、土地の風景に馴染む外観で大屋根の家、特に道路側から見て「へ」の字を描く形がいいなと具体的にイメージを思い描いていました。
伺っていると、お二人で話し合いながらしっかりと家のイメージを具体化されていったことを感じます。家づくりの過程をどんな風に進めたか、その時感じたことをお聞かせいただけますか。
ご夫婦: プラン決定までも、その後詳細を決める段階でも、図面を見ながらとにかく何度も暮らしをシミュレーションし、棚一つでも自分達ならどう使うか、一つ一つ二人で話し合って考えました。
造作棚の造りを1cm単位でお願いする場面もあったほど、私達は要望や自分達からの提案がとても多かったと振り返って思うのですが、現場担当の方もそれによく応えていただいたと有難く感じています。
ご主人: 柔軟に要望に応えてもらえる高い自由度があったからこそ納得のいく家が叶ったと思いますし、今でも外から家に帰ると「いい家があるなあ」と嬉しく思うくらいなんですよ。
ご夫婦: 家づくりの過程はとても楽しく、特に見学会は「今度はどんな新しいことに出会えるかな?」と毎回ワクワクしていました。
計画が進む途中、仕事の都合で先にこちらへ住まいを移したのですが、工事を間近で見ながら、現場を担う棟梁からも仕事に真摯に向き合う姿勢を感じていました。話を伺うと本当に丁寧に説明してくれて、子供達が「棟梁友達になって!」と懐いていたのも良い思い出です。
最近お庭が完成したということで、竣工時からお住まいの雰囲気がまた変わり一層素敵になりましたね。
ご主人: 庭は暮らしながらじっくり考えたかったので、冬を越してこの春、造園屋さんに施工していただきました。ダイニングに椅子を置いて眺めた時に庭がどんな風に見えるか、どこに木があれば西からの陽差しや母屋との距離感を和らげてくれるか、冬に雪が落ちて積もる場所は…と、暮らしてこそ見える気づきを庭づくりでは大切にしたいと思っていたんです。
奥様: 最近は4人で向かい合って食卓を囲んでいても気づくと全員外を向いている、なんてこともしばしば。庭が出来て以前より一層外を眺めて楽しむ時間が増えました。
この家での過ごし方や、お住まいになって感じていることなど、普段の暮らしの様子をお聞かせいただけますか。
ご主人: 田植えの季節には空の満月が水面に映る様子が見えて、稲が育ってくると今度は一面緑の絨毯のようになった田んぼに風が吹き抜ける。この家からの東の眺めや環境はやっぱりとてもいいなと感じますね。
奥様: 特にキッチンの上の高窓は目隠しがないので、いつもそこから月や星が見えるんです。子供達が「あ!お月様だ!」と喜んでいる様子も嬉しくて。
母屋の庭から季節の花を貰って飾り、花が終わる頃にはドライフラワーにして楽しんで、そんな暮らしの楽しみが日常にあることもとても豊かだなと感じます。
ご夫婦: 芝生が出来て、先日はテントを張って外で食事をしていたのですが、そんな時には外へつながる土間が特にいいなと感じます。冬も雪遊びで濡れた子供の上着を気兼ねなく干せて、子供も大人も大らかな気持ちで居られるように思います。室内に土間を作るか当初夫婦で意見が分かれていたのですが、今のように作ってもらってとてもよかったですね。
ご主人: 昔から好きだった植物を育てる場所としても重宝ですし、椅子を置いて外を眺めているとここでついうとうと眠ってしまうくらい、土間は家の中でもよく過ごす場所になっているんですよ。
HEAT20 G2以上の断熱性能に床下エアコン暖房と性能も重視したお住まいですが、性能面での住み心地や光熱費の実感はいかがですか。
ご夫婦: 今年は初めての冬ということで、床下エアコンの風向や温度はいろいろ試しながら過ごしていました。正直に言えば床下一台で全てを完璧に温めることが難しい時期もあり、補助的に加湿を兼ねたヒーターも使っていましたが、それでも家のどこに居ても温度差が少ないことが本当に快適で、性能の高さを実感します。冬に母屋から家族が来ると「暖かい!」と驚いていました。
ご主人: 光熱費は以前のアパートとでは比較が難しく一概に高い安いと言いにくいのですが、「快適さを買っている」という感覚を持っているので、そう考えると十分に納得のいくものだと感じています。
この先の暮らしで楽しみに思っていることはありますか。また、これから家を建てる方へメッセージを伝えるとしたらどんなことがあるでしょうか。
ご主人: 南と東の庭は自分で手を入れたいなと土のまま残しているので、どんな庭にしようか、何を植えようかと今楽しみに計画しています。
奥様: まだ子供達がリビングで一緒に過ごす時間が多く子供部屋には家具を入れていないので、成長と共に部屋を作ったり変えたりしていくのは楽しみだなと感じていることの一つですね。
ご夫婦: 庭も空間も「余白を残す」ことを家づくりでは大切に考えていました。初めから全てを作り込み過ぎないことで、庭もインテリアも、暮らしながら自分達の手で作っていける。それがとても楽しいです。
ご主人: 家づくりに当たっては、情報がいくらでも手に入る今の時代だからこそ、インプットするだけでなく自分達に必要なものは何なのか、情報を噛み砕いてよく考えることが大切なのだと思います。
それから、本物の素材にたくさん触れることも。家づくりを機に家具も長く使える仕上げを選ぶよう意識が変わったのですが、無垢の木にはふとした時に触れる気持ちよさはもちろん、自分でメンテナンスしながら長く使い続けていく楽しさもあると、この家で暮らしながらあらためて気づきました。
奥様: 雑誌などでは「子供のためにこんな設備を」と近い期間に照準を合わせた家の提案も見かけますが、子供は成長し変化していくものなので、長いスパンで家を考えることが大切ではないかなと私は思います。何より自分達がこの家に長く住み続けたいという思いがありますし、そうすることで結果的に子供達にも良いものを残していけるのではないかな、と考えています。
◆取材を終えて
たくさん話し合いを重ねながら家のことを考えた、その過程がとても楽しかったとお話くださったT様ご夫妻。家や暮らしを大切に思い、日々を楽しんでおられる様子がお話の端々から伝わってきました。
家はただ頑丈なだけでなく、長く愛せる素材やデザイン、暮らしながらのメンテナンスがあってこそ、長く住み続けられる家になるという当たり前のようなことにもあらためて思いを巡らせた、とても貴重な取材の時間でした。
T様とこうして家づくりをさせていただきましたこと、心より御礼申し上げます。取材にご協力いただき、ありがとうございました!