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2021年12月13日(月)

UA値の違いを身近に考えてみる

前回、断熱等級新設のニュースから国の基準や自社の断熱性能についてあらためてまとめましたが、家づくりを考え始めたばかりという方にとっては「外皮性能」「UA値」などの言葉がそもそもわかりにくいのでは?と気になっていました。

5地域の断熱等級4はUA値0.87W/㎡K、HEAT20 G1水準だと0.48W/㎡K、と言われてもその間にある0.39W/㎡という数字の差が、実際何にどう影響するのかがよくわからないような…。

今回は、「UA値」が違うと何がどう変わってくるのか、より具体的な例で考えてみたいと思います!

例えば総2階・延床面積35坪の家を想定して、ごく簡略化し図のようなサイズの家があるとすると

外皮(外壁・床・天井の断熱の断熱をしている面)面積は286.1㎡。

このサイズの家がUA値0.87W/㎡Kの場合と、0.48W/㎡Kの場合の差について考えてみます。

UA値の単位「W/㎡K」は外皮面積1㎡あたり1℃の温度差がある時に1時間に伝わる熱の量ですので、

・外皮面積 286.1㎡の家で

・0.39W/㎡KのUA値の差がある

・この家の内外に20℃の温度差がある

とした場合、0.48W/㎡Kの家に比べ、UA値0.87W/㎡Kの家では全体で1時間に約2231Wのエネルギーが余分に逃げる計算になります。

2231Wのエネルギーとはどれくらいかというと… 調べてみると、8~10畳用とされる一般的なパネルヒーターの強運転時の消費電力が1200W程でしたので、これが2台分弱くらいのイメージでしょうか。

UA値0.87W/㎡Kの家全体では、この量のエネルギーを余分に投入しないと0.48W/㎡Kの家と同じ温度を保てないということになります。

1日8時間・1カ月この差を補うためにプラスで暖房をしたとして、電力で考えると、2.231kWh×8時間×30日=535.44kWh プラスの電力を使う計算になります。

単純に料金に換算してみると、現在東北電力の電力単価が約24.4円でしたので(従量電灯B・基本料金を考えず使用電力による単価の違いを平均した場合)、535.44kW×24.4円=約13,064円 のプラスということに。

実際は暖房器具や燃料の種類によって暖房効率が変わる、暖房する範囲や時間の違い、換気による熱の損失、天候によって変化する室内外の温度…等、他にも様々な条件が関わってくるため、このように単純な計算で測れない部分も大きいですが、こんな風に考えてみるとUA値による性能の違いという想像のつきにくいものがより身近に感じられるように思います。

/hasegawa