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住まいのいろいろ

2021年10月1日(金)

住まいの中の高さ

家を平面で見る間取り図は日常でも目にする機会が多く、6帖・8帖など畳の枚数による広さの表現は日本の暮らしに馴染み深い習慣です。そんな風に、家を考える時に空間を横の広がりで捉えることは比較的身近な感じがするのではないでしょうか。

それに比べると空間の縦方向・高さの感覚は少し想像の付きにくい部分のように思いますが、今回は住まいの中の「高さ」について、施工事例からご紹介します。

■高さの変化でゆるやかに区切る

現在の住まいでは、リビング、ダイニング、キッチンを各々別の部屋として間仕切ることは少なく、LDKの一続きの空間にそれぞれのスペースを配置することがほとんどになっています。

一間の続いた部屋の中でゆるやかにL・D・Kのゾーンを区切る、その際に高さの違いが活躍しています。

リビングとダイニングの天井をキッチンより高く作り、ダイニングをさらに勾配天井としたLDK。

板張りと白とに分けた天井の素材の違いや、キッチンの手元を隠す高めのカウンターも加わって、一つの部屋の中で料理する場所・食べる場所・くつろぐ場所がほどよく区切られ、空間にメリハリが生まれています。

■目線を合わせる

LDKに隣接して和室を設ける際、床の高さに変化をつけ、一段上がった小上がりとする場合があります。

リビング・ダイニングにはソファや椅子を置いて座ることが多い一方、畳のスペースは床座で過ごすことが主になりますが、畳の床を一段上げることで座った時の目線の高さが近づきます。

一段上がった和室の縁にベンチのように腰かけたり、段差を利用して畳の下を引き出し収納にしたりすることもできます。

同じようにLDKと和室が隣合う場合でも、段差なく部屋を続けると、よりリビングとの一体感が感じられます。

間取上、和室がテラスに面している場合なども和室の床を上げない方が庭とのつながりを作りやすく、小上がりの場合とフラットな場合、それぞれに特徴があります。

■高さによる印象の違い

高い天井や吹き抜けは開放感を感じやすく、同じ広さのスペースでも高さによって広さの印象が違ってくるのは、空間の面白いところの一つです。

広い吹き抜けが特徴的な住まい。

間口の広さが限られ奥に細長い敷地を活かすため、リビング上部を吹き抜けにし側面からの光を取り込んでいます。隣家との距離が近い土地でも、高い位置に窓を設けることで室内がとても明るく、圧迫感を感じずに過ごすことができます。

天井が高い=良いというわけでなく、反対に高さを抑えることで落ち着く空間が出来る場合もあります。

長岡モデルハウスのLDKは、天井の高いキッチン~ダイニングと、低めに作ったリビングの対比が一つの特徴。

天井や壁が近いことで感じられる安心感もまたあって、人の感覚は面白いなと思います。

■天井の高さや形

同じ間取りでも、天井の高さや形で室内の印象が変わってきます。

この後の4つの住まいは、直線に並ぶリビング・ダイニングにL字型にキッチンが続く、よく似た間取りのLDKなのですが、それぞれ天井の高さや形、また素材や窓のとり方が異なっています。

屋根の傾斜に沿った勾配天井を壁の色と同じ白で仕上げたLDK。2階リビングのため窓下は腰壁の立ち上がりがあります。

フラットな天井に梁を現しとし、より木の印象の強いLDK。掃き出し窓で外が近く感じられます。

勾配天井を栂の羽目板で仕上げたLDK。窓下に小上がりもあり、外へ向かってやや視線が絞られることで室内が落ち着いた印象に。

フラットで高さのある天井をレッドシダーの羽目板で仕上げたLDK。小上がり+高窓で自然に視線が上の方へ向かいます。

間取りだけでなく、高さも大切なポイントとなる家づくり。

空間の中に入った時の高さの感覚は、写真だけではなかなかお伝えしづらい面でもあるので、モデルハウスや完成見学会などでぜひ体感していただきたいと思っております!

/hasegawa