ブログ

その他

2022年4月22日(金)

新潟建築散歩 新潟市美術館

以前新潟建築散歩と題して糸魚川市の谷村美術館を取り上げましたが、今回は新潟市中央区にある新潟市美術館に焦点を当ててみたいと思います。

新潟市美術館は、新潟市出身の建築家 前川國男によって設計された建物で、今から37年前の1985年に完成しました。

海岸に近い地域に位置しており、中央区という都市の街中ながら美術館の隣には緑の多い公園も整備され、周辺にはところどころ古い建物も残る落ち着いた街並みが広がっています。

建物そのものだけでなく、もともと砂丘だった土地の高低差を利用してゆるやかなスロープが整備されたという外構も特徴の一つ。

外壁は濃い茶のタイルで仕上げられ、建物の高さは比較的低く、華やかさや豪華さを強調するというよりも、堅実で街並みに馴染むようなデザインに感じられます。

タイルを貼り付けるのではなく、躯体と一緒に打ち込む独自の工法で仕上げられたという外壁。

光が当たると釉薬の艶やタイル一枚ごとの微妙な色合いの差が浮かびます。

遠目の写真ではわかりにくいのですが、近づくと、エントランスは周りのガラス張りの平面に斜めに刺さるような形で配置されておりユニークです。

コンクリートの表面には板目が。

館内から続く中庭もあり、屋外にも散策を楽しみながら見られる作品展示があります。

こちらは外にある椅子…

そして水栓も…外壁のタイルと似た質感の焼きもので作られています!この建物のためにデザインされたオリジナルでしょうか。

傘のような形の庭園灯も何だかかわいらしい。

木立に囲まれた庭を通り抜け、ぐるりと回って建物の裏側へ。(訪れてからここでご紹介するまでにかなり時間が経ってしまい雪が映っております…)

正面から見る美術館ももちろん良いのですが、個人的には裏側もとても良いなあと思いました。

ガラス張りの窓が縦に連なり、その上部がゆるやかなアーチで縁取られることで高さが強調されて見えます。

こちらから見ると「洋」の雰囲気を強く感じるのですが、普段でも建物を見ながらその形とこれまでの記憶や経験を無意識に結び付けて、和・洋などの印象を受け取っているのだなと気づきます。

著名な建築家の設計した建物はネットや本でも気軽に写真を見ることができますが、実際見に行くと、素材の質感や光の加減、周囲の街並みの中でどんな風に見えるかなど、その場でしか感じられないことが本当に多くあり、そういうところに建物の面白さを強く感じます。

新潟市美術館では現在絵本原画の展覧会が開催されているそうですので、連休のお出かけに訪れてみるのもよいかもしれません!

/hasegawa